
私たちボランティアチーム「UNSAM(アンサム)」は、毎年夏に困難を抱える当事者と出会い、共に考える「スタディツアー」を行っています 。このプロジェクトの大きな特徴は、中高生が家庭の事情などで旅の体験を諦めることがないよう、メンバー自身がバザーや募金活動を行って旅費をつくり出している点にあります 。
2025年のツアー先は、メンバーによる約一ヶ月半の話し合いの結果、「被爆者の方の声を聴く機会はこれが最後かもしれない」という強い思いから、長崎に決定しました 。
2025年度の活動報告
今回のツアーでは、9人の若者が長崎を訪れました 。被爆80年という節目を前に、現地の風景に息づく歴史を感じ、今を生きる人々との出会いを通じて平和への思いを深めました 。
主な訪問先と活動
- 歴史の継承を学ぶ: 長崎原爆資料館、平和公園、浦上天主堂などを巡り、当時の惨状とそこからの復興の歩みを辿りました 。
- 全国の仲間との交流: 「全国高校生平和集会」に参加し、全国から集まった同世代の仲間たちと、それぞれの地域での活動報告や平和への課題について語り合いました 。
- 地域の人々との繋がり: 爆心地近くの本原公民館に宿泊し、地元の方々や、50年にわたり折り鶴を届けている「千人鶴の会」の皆さんと交流しました 。
この旅を通じて私たちは、「今日の聞き手は明日の語り手」であるという自覚を持ちました 。過去の悲劇を単なる知識として終わらせるのではなく、自分たちの言葉で次世代へつなぎ、平和をつくるために行動していくことを決意しています 。
参加者の声(報告書より抜粋)
スタディツアーに参加したメンバーが、現地で何を感じ、どう変わったのか。その心からの言葉を一部ご紹介します。
「戦争に関係ない人はいない」 「教科書で事実は知っていましたが、現地で資料や写真を見ることで、その規模と衝撃をとても実感しました。平和集会で聞いた『戦争に関心を持っていない人はいるけれど、戦争に関係ない人はいない』という言葉が、平和を他人事にしてはいけないという強い思いとして心に残っています。僕たちの活動は今は小さな力かもしれませんが、決して無力ではないと信じています。」 —— MS(中学3年生)
「像がつなぐ平和への願い」 「『ふりそでの少女像』を制作された余江さんから、像は過去を追悼するだけでなく、出会いを生み、平和を考える輪を広げるためのものだと教わりました。資料館で見た『お母さんがほしい、お父さんもほしい』という5歳の子の言葉に胸を打たれ、家族と毎日会える日常の幸せに感謝し、それを守るために祈り、学び続けたいと思いました。」 —— IA(高校2年生)
「旅を通して変われた自分」 「以前は署名活動を見かけても疑って避けてしまっていましたが、長崎で同世代が核兵器廃絶を訴える姿を見て、その重要性を深く理解しました。『今日の聞き手は明日の語り手』という言葉に衝撃を受け、被爆体験を知らない私たちがその想いをつなぐ責任があると感じました。将来は通訳ガイドの資格を取り、世界の人にこの歴史と平和への思いを伝えていきたいです。」 —— TS(高校3年生)
「被爆4世としてのルーツを訪ねて」 「私のひいおばあちゃんは長崎で被爆しました。ツアーの後、99歳になるひいおばあちゃんに直接会いに行き、『戦争は絶対にダメ、長崎の街が一瞬でなくなってしまった』という言葉を何度も聞きました。自分に流れる長崎の血を誇りに思い、知ることから始めて、どう世界に伝えていくべきか考えていきたいです。」 —— SH(中学2年生)
最後に
私たちの活動を支えてくださる皆様、バザーや募金にご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。UNSAMはこれからも、「一つ空の下」でつながるすべての人々と共に、平和な未来を目指して歩み続けます。